使徒の働き2章14-21節
14. ペテロは十一人とともに立って、声を張り上げ、人々に語りかけた。「ユダヤの皆さん、ならびにエルサレムに住むすべての皆さん、あなたがたにこのことを知っていただきたい。私のことばに耳を傾けていただきたい。
15. 今は朝の九時ですから、この人たちは、あなたがたが思っているように酔っているのではありません。
16. これは、預言者ヨエルによって語られたことです。
17. 『神は言われる。終わりの日に、わたしはすべての人にわたしの霊を注ぐ。あなたがたの息子や娘は預言し、青年は幻を見、老人は夢を見る。
18. その日わたしは、わたしのしもべにも、はしためにも、わたしの霊を注ぐ。すると彼らは預言する。
19. また、わたしは上は天に不思議を、下は地にしるしを現れさせる。それは血と火と立ち上る煙。
20. 主の大いなる輝かしい日が来る前に、太陽は闇に、月は血に変わる。
21. しかし、主の御名を呼び求める者はみな救われる。』
礼拝メッセージ
2022年6月12日
使徒の働き2章14―21節
「青年は幻を、老人は夢を」
1963年、アメリカの首都ワシントンで、バプテスト教会の牧師、マーティン・ルーサー・キング牧師は、”I Have A Dream”「私には夢がある」と演説をしました。まだまだ人種差別が根強かった時代です。白人と黒人が同じ学校に通うことも、同じ水道から水を飲むこともできないような状況にあって、キング牧師は、「私には夢がある」と語ったのです。「やがていつの日か、私たちの子どもたちが肌の色に関係なく、中身で判断される、そんな国に住む日が必ず来る」とキング牧師は夢を語りました。
キング牧師の夢は、まだ完全に実現していないでしょう。アメリカだけでなく、日本でも、世界各地で暗い部分、根強い差別が残っているでしょう。けれども2009年、アメリカに初めてアフリカ系の大統領が誕生しました。この事実を前にして、私たちは「キング牧師の夢、幻の一部が実現した」と感動します。
私たちには幻が、夢が必要です。現実しか見ることができないならば、絶望してしまいます。辛い悲しい現実に圧倒されてしまい、私たちの内から元気が出てきません。けれども「必ず素晴らしい未来が与えられる」と希望を持つ。まことの神様を知っている私たちは、神様が私たちに最善の、最高のご計画を実現してくださると信じることができる。神様の思いを私たちの幻とさせていただく。神様の御心を私たちの夢とさせて頂きたいと願います。
使徒の働きを少しずつ読み進めていますが、今朝は2章の14節からです。先週は2章の1節から、御霊なる神が使徒たちのもとに降って来てくださったペンテコステの出来事を見ました。御霊なる神、聖霊に満たされた使徒たちは、外国の言葉が口から自然に出てきます。それぞれの母国語で、イエス・キリストの福音が語られたのです。
その場に居合わせた人たちは、目撃した光景に面食らってしまいます。ある人たちは、使徒たちが外国語を話しているのを見て、「彼らは新しいぶどう酒に酔っているのだ」と言って、あざけりました(2:13)。酔っ払って、ろれつが回らなくなっている。どうしようもない奴らだと非難したのです。
その時、14節。ペテロは十一人とともに立って、声を張り上げ、人々に語りかけた。「ユダヤの皆さん、ならびにエルサレムに住むすべての皆さん、あなたがたにこのことを知っていただきたい。私のことばに耳を傾けていただきたい。
十字架の直前、イエス様が捕(と)らえられ、尋問を受けている時、恐(こわ)くなって、イエス様の弟子であることを否定してしまったペテロでした。「あんな人など知らない!」とイエス様を裏切ってしまったペテロでした。 あのペテロとは、まるで別人です。イエス様に赦していただき、牧会者として再出発する召しを与えられたペテロ。そして、聖霊の力強い導きを受けて、ペテロは、キリスト教会最初の伝道説教を始めます。
15節から、「今は朝の九時ですから、この人たちは、あなたがたが思っているように酔っているのではありません。」ユダヤ人は一日に三度、お祈りの時間が決まっていました。① 朝早くと、② 昼の12時と、③ 午後3時からです。朝はずっと祈りに励みますので、朝ご飯を食べるのは10時頃からでした。「今は朝の9時、まだ朝ごはん前なのですよ、ぶどう酒で酔っ払っているはずがないじゃないですか!」 ペテロは、あざける人々に反論し、彼らの誤解を解こうとします。
そして今、目の前で起きている出来事、使徒たちが聖霊に満たされ、福音を力強く証ししていることは、すでに旧約聖書に預言されていた。それが実現していると、語ったのです。16節から。これは、預言者ヨエルによって語られたことです。 『神は言われる。終わりの日に、わたしはすべての人にわたしの霊を注ぐ。あなたがたの息子や娘は預言し、青年は幻を見、老人は夢を見る。その日わたしは、わたしのしもべにも、はしためにも、わたしの霊を注ぐ。すると彼らは預言する。
使徒たちはぶどう酒に酔ってはいませんでした。けれども預言者の名前は、ヨエルです。面白いなぁ(笑)と感じます。
交読した旧約のみことば、ヨエル書2章25-32節。普段、あまり開かない、なじみの薄い聖書箇所かもしれません。その預言者ヨエルに、紀元前800年頃、神様はペンテコステの約束を与えてくださいました。ペテロは、このみことばが、今、実現したのだ。神様の約束が成就したと語ります。目の前にいた群衆は、聖書の神様を信じている人たちでした。旧約聖書のみことばを神のことばと信じている人たちでした。ペテロはみことばから、聖霊が降って来たことの確かさ、正当性を証しするのです。
ヨエルは、主なる神様からの回復のメッセージを取り次ぎました。イナゴやバッタが大発生し、穀物と言う穀物を、緑と言う緑を食い尽くし、大飢饉に見舞われる過酷な天災からの回復であり、また霊的な回復・信仰の回復を語った預言者でした。人々が、主なる神様と再びしっかりとつなぎ合わされていくことを語ったのです。ヨエル書2章27節「あなたがたは、イスラエルの真ん中にわたしがいることを知り、わたしがあなたがたの神、主であり、ほかにはいないことを知る。わたしの民は永遠に恥を見ることはない。」 この約束は、聖霊が私たちに注がれ、私たちの内に住んでくださることによって成就しているのです。
旧約聖書の時代、聖霊は、神様から特別な使命を頂いて、特別な働きに任じられた人のみに注がれました※。民の指導者、王様、預言者などです 。その特別な聖霊が、新約聖書のペンテコステの日以降、すべて主を信じる者たちに注がれているのです。「注がれる」という以上に、「あふれ出る」、「こぼれ出る」という意味があるのだそうです。神様のあふれ出るほどの恵みです。
それは息子・娘:子どもたちにも、お年寄りにも若者にも、国籍・民族・性別・年齢などの区別なく注がれます。さらに社会的立場にも関わりありません。しもべ:男性の奴隷たちにも、はしため:女性の奴隷たちにも神の霊:聖霊が注がれているのです。学のあるなし、収入の多い少ない、この世で偉いか偉くないかなど、全く関係ありません。
聖霊があふれ出るほど内に与えられる時、助け主とも呼ばれ、私たちをかたわらで支え、応援してくださっている聖霊に私たちが導かれる時、私たちはどのように変えられるのでしょうか?「あなたがたの息子や娘は預言し」と約束されています。ペテロやパウロが、誰に対しても、いつでも、どこでも大胆に、主イエス・キリストの福音を語ったように、小さな子どもたちが、神様のみことば、福音の素晴らしさを語り始めるのです。子どもは子どもなりに、子どもの言葉で、イエス様を証しし始めるのです。
さらに、「青年は幻を見、老人は夢を見る」と約束されています。日本語の「夢・幻」という単語は、「夢か現(うつつ)か幻か」とか人生50年「夢幻のごとくなり」などと言われ、はかないもの・消えていくものといったイメージを抱きます。また将来への展望とか希望といった意味でも使われます。しかし、預言者ヨエルはここで、子どもが預言をし、青年が幻を見、老人が夢を見ると、三つの世代を並べ、どの世代の人たちも聖霊を受けて、神のことばを語ると約束しているのです。神様のすばらしさを仰ぎ見、その御業を語り始めるのです。
ペンテコステの日、聖霊を頂いた使徒たちが、様々な言語を駆使しながら語った内容は、福音でした(使徒の働き2章22節以降)。恍惚状態になって神秘的な呪文を唱えたり、新たな説を唱え始めたりはしませんでした。ただ主であるお方のこと。ナザレ人イエスがしてくださったこと、十字架に架かり死なれ、墓から復活されたこと、それがあなたの罪のためであったこと。だから今、悔い改めて、キリストを信じ、バプテスマ:洗礼を受けなさいという伝道メッセージでした。まっすぐに福音だけを語ったのです。
皆さんもそれぞれ、聖霊が注がれた、聖霊に導かれた聖霊体験をお持ちかと思います。イエス様を知ったあの日のこと、十字架が迫って来たあの時のこと、震えるような感動を覚えたあのみことばとの出会いなど。
私にとって、聖霊に触れられた経験は、神学生時代でした。牧師への召しを受けて、神学校で学んでいました。神学校では毎日、お昼ご飯前に礼拝をささげていました。ある日のお昼の礼拝で、一人の教師が「聖霊のお働きについて語ります」とヨハネの福音書からイエス様が教えてくださった「助け主なる聖霊のお働き」を坦々と語り始めました。情熱を込めて語られたと思いますが、熱狂的に叫んだり、感情に訴えたりすることなく、みことばを順番に語ってくださいました。 ― 聖霊は私たちの罪を指し示してくださるお方です。聖霊は私たちにイエス様の十字架の赦しを悟らせてくださるお方です。そしてこのお方を信じる信仰を与えてくださいます。 -
そのメッセージを聴き終えた後、私は神学校のチャペルの椅子から立ち上がることができませんでした。涙がとめどなくあふれ出て来ました。なぜか分かりません。うれしくって、うれしくって、また自分の罪深さを知らされて、「主よー」と、昼ご飯を食べに行くことも出来ず、午後チャペルでずっと祈り続けました。「赦してください」、「憐れんでください」と祈り、十字架の赦しにすがりました。そして「ありがとうございます」と祈りました。
聖霊が私の心・たましいに触れてくださった。本当の意味で、イエス様の十字架の愛・赦しの大きさ・広さ・豊かさを私に知らせてくださった時でした。
聖霊は私の内に住んでいてくださいます。私たちに働きかけよう、語りかけてくださいます。御霊に満たされていくこと、御霊に導かれていくこと、その喜びを私たちも体験していきましょう。祈り求めて行きましょう。
ヨエルは、約800年も後に起こるペンテコステの日以降の素晴らしい御業を、神様から示されて語りました。さらに驚くべきことに、もっと先のこと。2022年を歩んでいる私たちもまだ体験していないことを語りました。もしかしたら、私たちは今、その実現に向かう序章を見ているのかもしれませんが、この世の終わりについての神様のご計画をヨエルは示され、語りました。ヨエル2章30,31節、また使徒の働き2章19,29節です。「また、わたしは上は天に不思議を、下は地にしるしを現れさせる。それは血と火と立ち上る煙。主の大いなる輝かしい日が来る前に、太陽は闇に、月は血に変わる。」
終わりの日のことです。天地創造の第一目に、この世界の“初め”を定められた神様は、同時に“終わりの日”を定めておられます。その日、主イエス様が再び天から下って来られます。終わりの日、最後の審判の日、その時生きている聖徒たちが、主イエス様のみもと、天国に引き上げられる完成の日です。その日が、一日一日にと近付いている今を、私たちは生かされています。
その日の前触れとして、聖書は思ってもみなかったような天変地異が続くと警告しています。人々に危機を悟らせ、神様に立ち返らせるための試練でしょう。みことばは、「太陽は闇に、月は血に変わる」ようなことまで起こると警告するのです。太陽と月は、いつも変わらずにあって、毎朝、毎晩お目にかかれる不動のものと私たちは思っています。しかし、変わらない、絶対に大丈夫と頼りにしていたものが、揺さぶられる・・・そんな時が来るのです。
そうであっても、この世のものがどんなに揺さぶられても、どんなに絶望的な状況に私たちが追い込まれても、決して変わらない神様の救いがあります。「しかし、主の御名を呼び求める者はみな救われる」(21節)この約束こそ、私たちにとっての一番の慰めであり、希望です。
十字架のあの場面、イエス様の隣で苦しんでいた強盗の一人が言いました。「イエス様。あなたが御国に入られるときには、私を思い出してください」イエス様は、答えてくださいます。「まことに、あなたに言います。あなたは今日、わたしとともにパラダイスにいます。」(ルカ23:42,43)
主のお名前を呼び求める人は、誰でも、みな救われるのです。「イエス様」と信頼して名を呼ぶ。「イエス様、助けてください」と言う。その人はみな救っていただけるのです。終わりに向かっていく私たちが、保ち続けなければならない幻、夢、希望は、このイエス様の救いでなくてなんでしょうか!
ヨエルは、御救いの約束を「逃れる」や「生き残る」とも表現しています。恐ろしい戦争のただ中から、あの虐殺の中から、奇跡的に生き伸びた、救われたという強烈な意味を含む言葉です。私たちも、罪と、死と、永遠の滅びから、神様の大いなる御業によって、イエス様の十字架と復活によって奇跡的に救われた者です。
イエス様は2000年前と同じように、今、私たちの世界をご覧になって、こう感じておられるのではないでしょうか。 - また、群衆を見て深くあわれまれた。彼らが羊飼いのいない羊の群れのように、弱り果てて倒れていたからである。そこでイエスは弟子たちに言われた。「収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫の主に、ご自分の収穫のために働き手を送ってくださるように祈りなさい。」(マタイ9:36―38)
福井中央キリスト教会の一番の幻・夢。私たちがいつも思い続けていく幻・夢は、このイエス様の思いでなければなりません。 「一人でも多くの人が救われてほしい、罪に苦しみ、死と滅びに向かっている人たちが、イエス様によって救われてほしい。福音はすべての人を救う神の力。」この幻・夢を、ずっと持ち続けていきたいと思います。主を呼び求める者は救われます。そして永遠に恥を見ることがないのです。
祈りましょう。
みことばへの応答
Q. 考えてみましょう。以下、自由にご記入ください。
1. 聖霊に心触れられた経験をお持ちでしょうか? 思い出して、書き留めてみましょう。
2. イエス様の救霊の幻・夢を実現するために、あなたに出来ること、あなたに託されている使命は何でしょうか?
お祈りの課題など
※ ・ 出エジプト記31:2,3 「見よ。わたしは、ユダ部族に属する、フルの子ウリの子ベツァルエルを名指して召し、彼に、知恵と英知と知識とあらゆる務めにおいて、神の霊を満たした。」:幕屋の金銀細工をする職人に
・ 民数記 27:18 主はモーセに言われた。「あなたは、神の霊の宿っている人、ヌンの子ヨシュアを連れて来て、あなたの手を彼の上に置け。
・ Ⅰサムエル 19:23 「サウルはそこへ、ラマのナヨテへ出て行った。彼にも神の霊が臨んだので、彼は預言しながら歩いて、ラマのナヨテまで来た。」
・ダニエル 4:8 「最後にダニエルが私の前に来た。彼の名は私の神の名にちなんでベルテシャツァルと呼ばれ、彼には聖なる神の霊があった。私はその夢を彼に話した。」
福井中央キリスト教会 【日本同盟基督教団】
キリスト教プロテスタントの教会です。 毎週日曜日の午前10時半から📖「礼拝」を、 毎週水曜日の午前10時半から🙏「聖書の学びとお祈りの会」を行っています。 クリスチャンではない方も、どの国の方でも、 👦 👧 👨 赤ちゃんからお年寄りまで 👩 👪 🙍 「礼拝」や「お祈りの会」にご自由にご参加いただけます。 🏡 家族のようなあたたかな教会 ♰ この町の教会 あなたの教会です。
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