「国と力と栄えは」

歴代誌 第一 29章 10-23節
10. ダビデは全会衆の前で主をほめたたえた。ダビデは言った。「私たちの父イスラエルの神、主よ。あなたがとこしえからとこしえまで、ほめたたえられますように。
11. 主よ、偉大さ、力、輝き、栄光、威厳は、あなたのものです。天にあるものも地にあるものもすべて。主よ、王国もあなたのものです。あなたは、すべてのものの上に、かしらとしてあがめられるべき方です。

12. 富と誉れは御前から出ます。あなたはすべてのものを支配しておられます。あなたの御手には勢いと力があり、あなたの御手によって、すべてのものが偉大にされ、力づけられるのです。

13. 私たちの神よ。今、私たちはあなたに感謝し、あなたの栄えに満ちた御名をほめたたえます。

14. このように自ら進んで献げる力を持っているとしても、私は何者なのでしょう、私の民は何者なのでしょう。すべてはあなたから出たのであり、私たちは御手から出たものをあなたに献げたにすぎません。

15. 私たちは、父祖たちがみなそうであったように、あなたの前では寄留者であり、居留している者です。地上での私たちの日々は影のようなもので、望みもありません。

16. 私たちの神、主よ。あなたの聖なる御名のために宮を建てようと私たちが準備したこの多くのものすべては、あなたの御手から出たものであり、すべてはあなたのものです。

17. わが神よ。あなたは心を試される方で、真っ直ぐなことを愛されるのを私はよく知っています。私は直ぐな心で、これらすべてを自ら進んで献げました。また今、ここにいるあなたの民が、自ら進んであなたに献げるのを、私は喜びのうちに見ました。

18. 私たちの父祖アブラハム、イサク、イスラエルの神、主よ。御民が心にめぐらす思いをとこしえに守り、彼らの心をしっかりとあなたに向けさせてください。

19. わが子ソロモンに全き心を与え、あなたの命令とさとしと掟を守らせて、すべてを行わせ、私が準備してきた宮を建てさせてください。」

20. そして、ダビデは全会衆に「あなたがたの神、主をほめたたえよ」と言った。すると全会衆は、父祖の神、主をほめたたえ、主と王の前に身をかがめてひれ伏した。

21. その翌日、彼らは主にいけにえを献げ、主に全焼のささげ物を献げた。雄牛千頭、雄羊千匹、子羊千匹、これらに添える注ぎのぶどう酒、また全イスラエルのための多くのいけにえを献げた。

22. その日、彼らは大いに喜んで、主の前で食べたり飲んだりし、改めてダビデの子ソロモンを王とし、主の前で油を注いで君主とした。また、ツァドクを祭司とした。

23. こうしてソロモンは主の王座に就き、父ダビデに代わって王となった。彼は栄え、全イスラエルは彼に聞き従った。


礼拝メッセージ

主の祈りシリーズ ⑨

2025年3月2日

歴代誌 第一 29章 10-23節

「国と力と栄えは」


 お値段がお高そうで、行ったことはないのですが、教会の周りには美味しそうな焼肉屋さんが数店舗あります。そのため夕方外に出ると、お肉が焼けている良い香りがしてきて、食欲がそそられます。

 ちょうど聖書通読の個所が「レビ記」でして、旧約聖書の時代、イスラエルの民が神様に牛や羊、ヤギなどをいけにえとしてささげた場面を日々、読んでいます。自分たちが犯した罪をつぐなうため、傷の無い最高級の家畜を神様におささげする。祭司たちはその血を流し、ほふって、肉を全焼のいけにえとしてささげたり、あるいは一部分だけ焼き、他は祭司たちや、いけにえをたずさえて来た礼拝者家族の食用としたりしました。そこには小麦粉やオリーブ油なども加えられました。神様への聖いささげものと、私たちの焼肉を同列に扱うことは不謹慎極まりないのでしょうが、旧約の時代にも肉がこげたにおい、芳ばしい香りがただよっていたのだろうな。聖書からにおいがしてくるような気がしました。

 今、読んで頂いたみことばにも、歴代誌 第一 29章 21節

その翌日、彼らは主にいけにえを献げ、主に全焼のささげ物を献げた。雄牛千頭、雄羊千匹、子羊千匹、これらに添える注ぎのぶどう酒、また全イスラエルのための多くのいけにえを献げた。

大量のいけにえが神様にささげられている特別な瞬間です。どんな場面だったのでしょうか? イスラエル2代目の国王ダビデが、息子であり後継者のソロモンに王座を継承する場面です。特に自分が行うことを神様から許されず、ソロモンの仕事だと、神様から示された神殿建築(Ⅰ歴代誌28:1-7)のために、資材や職人さん、そして資金を十分すぎるほど確保できた時に、ダビデが「これは人の業ではない、神様がなさせてくださった神の業だ!奇跡だ!」と感激し、神様をほめたたえ、全国民こぞって神様を礼拝した。その時に神様への感謝として、大量のいけにえがささげられたのです。

ダビデに神殿建設の思いが与えられた場面から振り返ってみます。

ダビデが自分の家に住んでいたときのことである。ダビデは預言者ナタンに言った。「見なさい。この私が杉材の家に住んでいるのに、主の契約の箱は天幕の下にある。」(Ⅰ歴代誌17:1)

立派な王宮を建設し、そこに自分だけ住んでいることに申し訳なさを感じました。出エジプト以来、契約の箱は屋外に設置された幕屋の中に安置されていました。ダビデは主なる神様を礼拝する聖なる場所=神殿を建設し、神様におささげしたいと切望します。けれども神様からのお答えは、

 あなたの日数が満ち、あなたが先祖のもとに行くとき、わたしはあなたの息子の中から、あなたの後に世継ぎの子を起こし、彼の王国を確立させる。彼はわたしのために一つの家を建て、わたしは彼の王座をとこしえまでも堅く立てる。(Ⅰ歴代誌17:11,12)

それはあなたの仕事ではなく、息子がなすことだと言われるのです。その理由も神様から明かされます。

ダビデはソロモンに言った。「わが子よ。私は、わが神、主の御名のために宮を建てる志を持ち続けてきた。しかし、私に次のような主のことばがあった。『あなたは多くの血を流し、大きな戦いをしてきた。あなたがわたしの名のために家を建ててはならない。わたしの前に多くの血を地に流してきたからである。(Ⅰ歴代誌22:7,8)

戦いに次ぐ戦いの人生を送って来たダビデでした。それだけたくさんの敵に取り囲まれていたダビデでした。戦場で敵を打ち破り、敵のいのちを奪ってきたダビデ、敵の血の跡が残っているようなダビデの手で、神の宮は建設されるべきではない。ソロモン(シャローム:「平和」の意味)と名付けられた後継者の仕事だと。

それでもダビデは、主の宮建築のために、ソロモンが即位後すぐに工事に着手できるように準備をととのえていくのです。まず土地を購入し(Ⅰ歴誌代21:25)、石材を切り出す石切り工を任命し(22:2)、資材となる鉄・青銅・杉材も大量に用意します(22:3―5)。あらゆる宝石や大理石も大量に準備しました(29:2)。そして遺言としてソロモンに「主の宮を建てよ」と命じたのです(22:6―16)。その中でダビデは、大量の金と銀、木材と石材も用意した(22:14)と語っています。ソロモンを補佐する官僚たちにも「神殿建設をするソロモンを助けるように」と命じます(22:17―19)。

さらに神殿での礼拝に仕える奉仕者たちも組織します。レビ人たちを祭司チーム、賛美チーム、門衛チームと分担させます(23-26章)。そして再度、大勢の部下たちを前に、「神様がソロモンに神殿建設を託された。ソロモン、勇気を出して実行しなさい」(28:1-10)と命じるのです。詳細な設計図も作成しソロモンに託します(28:11-19)。

ここまで準備をしたダビデ。「本当に神の宮を作りたくて作りたくて、たまらなかったんだろうな」と思います。けれども、ストップをかけた神様。そこには、神様の知恵があったのではないでしょうか。ダビデが傲慢にならないようにとのご配慮が。「国と力と栄光はすべて自分のもの。全部、自分の力で勝ち取った」と高ぶらないように。「自分にもできないことがある。至らないことがあること」に気付かせ、神様の主権の下にへりくだり、神様への信頼をなくさないように。神様はダビデに神殿建設を禁じられたのではないかと思います。

そんなダビデ、それでも最後にもう一声あげます。「今日、自ら進んで、その手にあふれるほど主に献げる者はいないか」(29:5)。「私もたくさんささげた。民のリーダーたちよ、あなたたちも」と呼びかけ、それに呼応して、一族の長たちが、こぞってたくさんの宝物を神殿建設のためにささげたのです。

今日のみことばは、その後のダビデの感激・神様への感謝・賛美・祈りがこだましています。ダビデの言葉は、

① たくさんささげてくれたリーダーたちへの感謝では、ありませんでした。彼らに「立派だね。すごいね」というおほめの言葉でもありませんでした。

② また自分自身を誇る言葉でもありませんでした。「こんなにもいっぱいささげたぞ。準備万端にできたぞ。部下たちにも従順にささげさせた自分は偉大な王だ」。そんな思いはみじんも感じられません。


ただただ、神様の偉大さ、すごさに圧倒され、神様をほめたたえる言葉しか出てこなかったのです。29:10-13

ダビデは全会衆の前で主をほめたたえた。ダビデは言った。「私たちの父イスラエルの神、主よ。あなたがとこしえからとこしえまで、ほめたたえられますように。主よ、偉大さ、力、輝き、栄光、威厳は、あなたのものです。天にあるものも地にあるものもすべて。主よ、王国もあなたのものです。あなたは、すべてのものの上に、かしらとしてあがめられるべき方です。富と誉れは御前から出ます。あなたはすべてのものを支配しておられます。あなたの御手には勢いと力があり、あなたの御手によって、すべてのものが偉大にされ、力づけられるのです。私たちの神よ。今、私たちはあなたに感謝し、あなたの栄えに満ちた御名をほめたたえます。

(1) 私たちが主におささげするもの。金銀も杉材も、それらはすべて神様がお造りなられたもの。それらはすべて神様のもの。それらを私たちは掘り出し、切り出し、主におささげしているのですと告白します。


このように自ら進んで献げる力を持っているとしても、私は何者なのでしょう、私の民は何者なのでしょう。すべてはあなたから出たのであり、私たちは御手から出たものをあなたに献げたにすぎません。私たちは、父祖たちがみなそうであったように、あなたの前では寄留者であり、居留している者です。地上での私たちの日々は影のようなもので、望みもありません。

(2) 14,15節でダビデはこう語っています。神様の偉大さを知れば知るほど、ダビデは人の弱さ・はかなさ、自分の小ささ・罪深さを知っていくのです。


わが神よ。あなたは心を試される方で、真っ直ぐなことを愛されるのを私はよく知っています。私は直ぐな心で、これらすべてを自ら進んで献げました。

(3) 17節で、神様はささげる人の心をご覧になっておられると、ダビデは語っています。人の心の内に、神様への感謝・感動・感激を与え、ささげたい志を与え、それを実現させてくださるのは、神様あなたなのですねと、ダビデは感極まって言うのです。


 弱く小さく、罪多い私たち人間ではなくて、私たちがより頼むお方。すべてのすべてであられるまことの王・主権者・偉大な神様、ただただあなたの聖なるお名前だけが記憶され、永遠に賛美されますように。ダビデはそのような思いがあふれて来たのではないでしょうか。

 主の祈りの最後、アーメンの前に、私たちも神様をほめたたえて告白します。「国と力と栄えは、とこしえにあなたのものだからです。」その時、ダビデが感じたと同じような感動・感激・感謝がこみ上げて来るでしょうか?

感覚や感情だけに頼っての信仰生活、賛美、礼拝、祈り、ささげものでは、不安定であることもわきまえつつ、知性や知識、心・思いもフル稼働で、全身全霊で神様のすばらしさを感じ、圧倒され、神様をほめたたえたいと願います。

「国と力と栄えは、とこしえにあなたのものだからです」この賛美の言葉をふくらませながら、主の祈りの祈りをもう一度、振り返ってみます。


  • 天にいます私たちの父よ。

: あなたは天と地のまことの王。永遠の主です。大いなるあなたを父と呼べる幸いを感謝します。


  • 御名が聖なるものとされますように。

:主よ、私たちではなく、ただあなただけがほめたたえられますように。


  • 御国が来ますように。

: この世界も、天国も、みな神様がお造りになったもの。あなたのものです。主権者なる神様のご支配を実現してください。


  • みこころが天で行われるように、地でも行われますように。

:あなたの御力によって、神様のすばらしいご計画がここに、この世界に実現しますように。


  • 私たちの日ごとの糧を、今日もお与えください。

:すべての良きものはあなたからのものです。感謝していただきます。何よりも私たちのたましいを生かすみことばの糧を今日もお与えください。


  • 私たちの負い目をお赦しください。私たちも、私たちに負い目のある人たちを赦します。

: あなたから絶大なるご愛・赦しを頂いている者として、あなたの力によって、人を赦すことができますように。


  • 私たちを試みにあわせないで、悪からお救いください。

私たちは本当に弱く、悪に負けてしまう存在です。ですから神様どうかあなたの大いなる御力によって、私たちをずっとかくまい守っていてください。


祈りましょう。

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